高齢者によるアブない事件、急増の背景は
門倉貴史著『不倫経済学』より抜粋
また、喫茶店やレストラン、映画館、ゲームセンター、カラオケボックス、ボーリング場など飲食店・娯楽施設の顧客全体に占めるシニア層の割合が高まっており、若い女性店員と高齢の男性が接触する機会が多くなっていることも、高齢者ストーカーが増える要因になっていると考えられる。
団塊シニアの退職により、老舗キャバレーが老人ホーム化していたりもする。実際にキャバレーで働いている女性に話を聞いたところ、次のように話してくれた。
「うちのお店に毎日来るおじいちゃんがいますよ。夕方店が開くやいなや席に座って、終電までずっといる。身寄りがないから、定年後にいきなり一人になって、家に帰っても寂しいんじゃないですか。お気に入りの女の子がいて、その子がいつも病院に付いていったりもしてますね。ブランドのバッグ買ってもらったりしてますけど……。この前は急に具合悪くなっちゃって、救急車で運んだんですけど、またその子が付き添ってました。ここが家みたいな感じなのかな。」
さらに、核家族化の進展に伴い、自分の子供と同居する高齢者が減っていること、配偶者に先立たれたりして孤独を感じる高齢者が増えていることも高齢者ストーカーの増加に少なからず影響している。そうした独り身の寂しさを埋めるために、無謀な恋愛にのめり込んでしまうのだ。
しかも、今の高齢者は、日本経済の高度成長を自分が支えてきたというプライドがあるので、自分の思いを相手に拒絶されると、プライドが傷つき、相手に対する怒りへとつながりやすい。こうした事情を踏まえると、今後も高齢者ストーカーは増加を続けることが予想される。
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